最近の国は短時間労働者(パート)にも社会保険へ加入させたいのか、加入条件(加入義務)を広げて社会保険加入者を増やすためにあの手この手を使っています。
パートだけど社会保険へ加入したくないそしてついに短時間労働者向けへ、社会保険料加入したら手当がもらえるニュースがありました。
しかしこれ、助成期間は2年ほどあるようですが期間限定です。簡単に調べてみたので少し紹介します。
助成金の趣旨
給与が社会保険加入ギリギリである。給与総支給88,000円の短時間のパート労働者が社会保険へ加入した場合、令和5年度の標準報酬月額88,000円が適応されます。
なので東京都なら社会保険料が約12,452円〜約13,253円を毎月の給与から天引き(徴収)されます。
短時間労働者はこの天引きを嫌い、社会保険扶養範囲内である月額88,000円未満への勤務時間、勤務日数を減らすなどの対策をしています。
しかしこのままだと社会保険へ加入したくないパート労働者は給与や勤務日数を抑える必要があり、雇用側は労働者が短時間しか働いてくれないので人手不足で困るわけですね。
そこで短時間パート労働者の社会保険料負担を助成金を支給することで、安心して社会保険へ加入させる事ができるというわけですね。
労働者側は1,056,000円の壁を意識せずにバリバリ働きキャリアアップを目指し、雇用側もこれで人手不足が少しでも解消できるという。国からのありがたい政策です。
とりあえず国は社会保険へ加入させ、社会保険料の増収を目指しているんでしょうね・・・
支給条件と支給方法
ニュースなどでは短時間パートの方が社会保険加入すれば手当がもらえるとありました。
しかし当然ながら支給には条件があります。
それと手当の名称は【社会保険適応促進手当】です。
●標準報酬月額104,000円(給与総支給101,000円〜107,000円)以下の方
厚労省のパンフレットを拝見したところ、この助成金の対象となる方は給与月額107,000円未満の方となります。
もし条件を満たし、社会保険へ加入すると給与からは社会保険料が天引き(徴収)されます。しかし社会保険適応促進手当が毎月支給されるので、給与の手取りが減らないので短時間パートの方は安心して社会保険へ加入できるわけです。
しかしこれだと月額給与を107,000円未満へ抑えるパート職員が多発するだけです。キャリアアップとありますが、働きすぎて標準報酬月額が上がった場合は手当がもらえなくなるので、キャリアアップでの意味はあまりなさそうですね。
それと算定基礎や、時給アップの月額変更でうっかり標準報酬月額が上がれば手当支給も終了するので注意です。
デメリット
しかしこれはあくまで勤め先の企業がその助成金を申請した場合です。
僕の勤め先ではこの助成金は見送る事が決定しました。これは義務ではありません。
まず、国からお金をもらう助成金申請はとても大変です。雇用側が得をする助成金なら手続きするのですが、正直これを申請する手間を考えると割に合わない仕事を強いられます。
この助成金は労働者側のキャリアアップが主目的です。国としては社会保険へ加入し、給与をアップさせ、ゆくゆくは高額な社会保険料を収めてもらう目的があります。
企業側も助成金対象のパート職員のキャリアアップ計画書を作成し、国へ提出しないといけません。なので手当がもらえる期間だけ社会保険へ加入し、手当がもらえなくなったら勤務日数を減らして社会保険へ加入しなくなったら雇用側が困ります。
おそらく助成金期間が終了したあと、その後の追跡調査や監査のリスクもありそうですね。
それとこの助成金の期間は2年です。助成金が終了したら当然手当が無くなります。そうなると手取りが減る事になるので、パート職員の怒りの矛先が事業所へ向かうのでその対応も正直大変ですね。
あとがき
パート職員から問い合わせがあったので調べてみましたが、事業所側にとってはそこまでメリットはありませんね。
恐らくこの助成金申請を断る事業所は多発するとみています。
手当目的のパート職員のキャリアアップ計画書なんて作れませんし、そもそもキャリアアップをしたいと考えてる方は最初から社会保険へ加入しています。
それとこれが2年間の期間限定なのも問題です。手当支給が終了した場合、絶対にトラブルが発生しそうですね。
もしこの助成金が対象なら、軽く相談してもいいかもしれませんね。